親や自身の体の変化で変わる日々の生活:夫婦で乗り越える家事・役割分担の話し合い
体の変化が日々の生活にもたらす影響:夫婦で向き合う家事と役割分担
40代後半となり、ご自身の体や、遠方に暮らす親御さんの体の変化を感じ始める方が多くいらっしゃいます。これまでの「あたりまえ」だった生活やペースが維持できなくなり、特に日々の家事や家族内での役割分担に影響が出てくることがあります。例えば、重いものが持てなくなったり、長時間立ち続けることがつらくなったり、親御さんの買い物や通院のサポートが必要になったりすることが考えられます。
共働きのご夫婦にとって、こうした変化はこれまでバランスを取ってきた生活リズムを大きく崩す要因となり得ます。どちらか一方に負担が偏り、お互いに不満やストレスを感じてしまうことも少なくありません。体の変化は避けられないことですが、その影響を最小限に抑え、夫婦で協力して乗り越えるためには、日々の生活における家事や役割分担について、早い段階から話し合い、調整していくことが重要になります。
なぜ、家事・役割分担の見直しが必要なのか
親御さんの介護が必要になった場合、遠方に暮らしていれば、定期的な訪問や手続き、連絡調整など、これまで以上に時間や労力が必要になります。また、ご自身の体調によっては、これまでのペースで家事をこなすことが難しくなるかもしれません。
このような状況で、特に話し合いがないまま従来の役割分担を続けていると、以下のような問題が生じやすくなります。
- 特定のパートナーへの負担集中: 親御さんの状況を知っている方が一人で対応したり、体力のある方が重労働を担ったりするなど、特定のパートナーに負担が集中し、疲弊してしまいます。
- コミュニケーションの不足: 忙しさや疲労から、お互いの状況や気持ちを十分に伝えられず、すれ違いが生じやすくなります。
- 協力体制の崩壊: どちらかの負担が大きい状態が続くと、感謝の気持ちが薄れ、非難めいた言動が増え、協力する気持ちが失われてしまうことがあります。
- 将来への不安増大: 今後のさらなる体の変化や介護の進行を考えると、「このままではどうなるのだろう」という漠然とした不安が大きくなります。
これらの問題を避けるためには、変化の兆候が見られた時点で、夫婦で状況を共有し、これから必要になるであろう家事や役割について具体的に話し合い、協力体制を築くことが不可欠です。
夫婦で家事・役割分担について話し合うステップ
体の変化に伴う家事や役割分担の変化について、夫婦で話し合いを進めるための具体的なステップをご紹介します。
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現状の共有と課題の洗い出し: まず、お互いの体の状況(自身の体調、親御さんの体調変化など)や、それによって「難しくなったこと」「新しく必要になったこと」を具体的にリストアップします。例えば、「重い荷物を持って階段を上がるのがつらい」「親の家の掃除が大変になった」「病院への送迎が必要になった」「役所の手続きが増えた」などです。家事だけでなく、親御さんとの連絡調整や親戚とのやり取りなども含めて考えましょう。
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お互いの気持ちや意向を伝え合う: 現状の課題に対して、それぞれがどのように感じているか、どんなことに不安を感じているかを率直に伝え合います。また、今後どのように協力していきたいか、何を手伝ってほしいかといった意向も共有しましょう。感情的にならず、落ち着いて話す時間を設けることが大切です。
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必要なタスクのリストアップと見直し: 日々の生活(自分たちのこと、親御さんのこと)で必要となる家事やタスクを全て書き出してみましょう。買い物、料理、掃除、洗濯、ゴミ出しといった普段の家事に加え、親御さんの安否確認、通院付き添い、金銭管理、連絡調整、手続きなども含めます。
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新しい役割分担の検討: リストアップしたタスクについて、誰が、いつ、どのように行うのが現実的かを話し合います。体力的な負担、時間的な制約、得意不得意、物理的な距離などを考慮し、一方に負担が集中しないように調整します。例えば、「重い買い物は二人で行くか、ネットスーパーを利用する」「親の家の掃除は家事代行サービスに頼む」「通院の付き添いは休みが取りやすい方が担当する」「書類の手続きは得意な方が担う」など、具体的な分担方法を決めます。
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外部サービスの活用を検討: 夫婦だけですべてを抱え込もうとせず、利用できる外部サービス(家事代行、配食サービス、地域の見守りサービス、介護サービスなど)についても積極的に情報収集し、活用を検討しましょう。費用対効果や、サービス利用による精神的な負担軽減なども考慮に入れることが大切です。
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定期的な見直しと調整: 一度決めた役割分担も、状況は常に変化します。親御さんの体の状態がさらに変わったり、ご自身の体調に変化があったりすれば、その都度見直しが必要になります。夫婦で定期的に話し合いの機会を持ち、柔軟に役割分担を調整していく姿勢が重要です。
夫婦で協力し、変化を乗り越えるために
体の変化によって日々の生活や家事の負担が増えることは、誰にでも起こりうる自然なことです。重要なのは、その変化から目を背けず、夫婦で共に課題として捉え、協力して解決策を探していくことです。
お互いの状況を理解し、労い合い、感謝の気持ちを伝え合うことも、協力体制を維持するためには欠かせません。完璧を目指すのではなく、できる範囲で協力し合い、必要に応じて外部の手を借りながら、夫婦二人でこの変化の時期を乗り越えていくという意識を持つことが、お互いの心身の健康を守り、良好なパートナーシップを維持することにつながるでしょう。
体の変化と向き合うことは、日々の生活やパートナーとの関係を見つめ直す機会でもあります。二人で力を合わせ、より良い未来を築いていくための一歩として、今回ご紹介した話し合いを始めてみてはいかがでしょうか。