遠方の親の服薬や通院:夫婦で協力する健康管理の話し合い
遠方の親の健康管理:夫婦で協力するための話し合いの始め方
離れて暮らす親の健康状態は、常に気になることの一つです。特に、服薬管理や定期的な通院が必要になってくると、物理的な距離があるだけに、どのようにサポートすれば良いか悩む方も多いのではないでしょうか。共働きで日々忙しい中、夫婦どちらか一方に負担が偏ってしまったり、お互いにどう関われば良いか分からず、十分なサポートができなかったりすることもあります。
親の体の変化に伴う健康管理のサポートは、夫婦共通の課題として捉え、共に考え、協力体制を築くことが大切です。この記事では、遠方の親の服薬や通院といった日常的な健康管理について、夫婦でどのように話し合い、サポートし合えるかについて考えていきます。
なぜ遠方の親の健康管理に夫婦の協力が必要か
遠方に暮らす親の健康管理は、近くに住んでいる場合とは異なる難しさがあります。
- 物理的な距離の壁: 医師の説明を聞きに行ったり、薬局に足を運んだり、通院の送迎をしたりといった物理的なサポートが容易ではありません。
- 情報共有の遅れ: 親の体調の変化や、医師からの指示などをリアルタイムに把握することが難しくなりがちです。親自身が正確に伝えきれないこともあります。
- 負担の偏り: どちらか一方の実家の場合、そちらの配偶者やきょうだいに負担が集中しやすくなります。しかし、子の世代の夫婦にとっては共通の「親」であり、無関心ではいられません。
このような状況で、夫婦が協力することで、情報収集や手続きの分担、精神的な支え合いが可能になります。お互いの得意なことや、仕事のスケジュールなどを考慮して役割分担することで、一人で抱え込む負担を軽減できます。また、夫婦それぞれの視点から親の状況を把握し、より適切で継続可能なサポート体制を築くことにつながります。
夫婦で話し合うべき具体的なサポート内容と役割分担
遠方の親の服薬や通院に関するサポートは多岐にわたります。夫婦で話し合う際に、どのようなサポートが必要かを具体的に洗い出してみましょう。
- 服薬管理:
- 処方されている薬の種類や飲み方を夫婦で共有する。
- 薬の在庫確認や、定期的な再処方手配を誰が行うか。
- オンライン服薬指導など、遠隔で利用できるサービスの情報収集。
- 親が薬を飲み忘れていないか、電話などで定期的に確認する役割。
- 通院サポート:
- 定期的な受診が必要な病院や、その頻度を共有する。
- 受診日の予約管理や、予約変更の連絡を誰が行うか。
- 緊急時や重要な受診の際に、どちらが付き添いに行くか、あるいは付き添いを頼める親戚やサービスなどを検討する。
- 受診結果や医師からの指示を夫婦で共有する方法を決める(電話、メッセージアプリなど)。
- その他:
- 健康状態に関する不安や、日々の変化について、親から情報を受け取る窓口を誰にするか。
- 地域の医療機関や相談窓口(地域包括支援センターなど)の情報収集や、必要に応じた連絡を誰が行うか。
- 急な体調不良や入院など、緊急時の連絡体制や初期対応について、事前に夫婦で確認しておく。
これらの項目について、夫婦それぞれの仕事の状況、得意なこと、親との関係性などを考慮しながら、「これはあなたが担当する」「これは二人で協力する」「これは外部サービスを検討する」といった形で、役割分担や協力の形を具体的に話し合ってみましょう。最初から完璧を目指す必要はありません。まずは「できることから」「無理のない範囲で」協力し合う姿勢が大切です。
パートナーとの話し合いを始めるためのステップ
親の体のこと、特に遠方のこととなると、どのようにパートナーに切り出せば良いか迷うこともあるかもしれません。共働きで忙しい日々の中で、改めて話し合いの時間を作ることも難しいと感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、この問題は夫婦二人の問題として捉え、早期に情報共有と話し合いを始めることが、後々の大きな負担を防ぐことにつながります。
話し合いを始めるためのヒントをいくつかご紹介します。
- きっかけを見つける: 親からの電話で体調の話が出たとき、健診結果が送られてきたとき、あるいは夫婦どちらかの親が体調を崩したニュースを見たときなど、日常の中にある「きっかけ」を捉えて、「そういえば、〇〇さん(親御さん)の最近の体調、気にならない?」「私たちの親も、これから体の変化があるよね」のように、自然な形で話題を振ってみることから始められます。
- 具体的な情報を共有する: 「最近、お父さんが薬の種類が増えたって言ってたよ」「お母さんが通院の予約で困っているみたい」など、具体的な情報を共有することで、他人事ではなく自分たちの問題として捉えやすくなります。
- お互いの懸念や考えを聞く: 一方的に自分の考えを伝えるのではなく、「あなたは親の健康について、どんなことが心配?」「将来、親のサポートが必要になったとき、どういう関わり方ができると思う?」のように、相手の率直な気持ちや考えを聞く姿勢が大切です。自分自身の「時間がない」「どうすればいいか分からない」といった不安も正直に伝えてみましょう。
- 一度に全てを決めようとしない: 健康管理のサポートは継続的なものです。一度の話し合いで全てを決定する必要はありません。まずは現状の確認と、目の前にある小さな課題(例えば、次の通院についてどうするか)から話し合ってみましょう。そして、「また来月、一度親の体調について話す時間を持とうか」のように、定期的に話し合う機会を設けることを提案します。
- 外部サービスの活用を検討する: 全てを夫婦だけで抱え込もうとせず、行政や地域のサービス、民間の見守りサービスやオンラインサービスなど、利用できる選択肢があることを共有し、情報収集を分担することも有効です。地域包括支援センターのような専門機関への相談も、夫婦で考える一歩となります。
まとめ:共に支え合い、親の健康と向き合う
離れて暮らす親の服薬や通院といった日常的な健康管理は、共働き夫婦にとって、仕事や自分たちの生活とのバランスを取りながら進める必要があり、難しさを伴う課題です。しかし、この課題に夫婦で一緒に向き合い、情報を共有し、協力して役割分担することで、お互いの負担を軽減し、より継続的なサポートが可能になります。
完璧を目指すのではなく、まずは小さなことから話し合いを始め、お互いの状況や気持ちを尊重しながら、無理のない範囲で協力体制を築いていくことが重要です。遠方にいても、夫婦で力を合わせることで、大切な親御さんの健康を支え、自分たち自身の心の平穏も保つことにつながるでしょう。親の体の変化と向き合う旅路を、ぜひパートナーと共に歩んでください。