「体がついていかない」と感じたら:夫婦で考える体力維持と健康寿命
「体がついていかない」と感じたら:夫婦で考える体力維持と健康寿命
40代後半に差し掛かると、「なんとなく疲れやすくなった」「前と同じように動けない」といった、体の変化を感じ始める方が少なくありません。これは加齢による自然な変化の一部ではありますが、日々の生活や将来への漠然とした不安につながることもあります。
自分自身の体の変化に加え、離れて暮らす親御様の体調や介護に関わる中で、親御様の体力低下を目の当たりにすることもあるでしょう。こうした「体力低下」という課題に、パートナーと共にどう向き合い、健康寿命を延ばすための取り組みを始めるかについて考えていきます。
加齢による体力低下とは
体力低下は、筋力、心肺機能、平衡感覚、骨密度など、体の様々な機能が年齢とともに緩やかに衰えることで起こります。これは誰にでも訪れる自然なプロセスです。親御様世代ではより顕著な形で現れることもありますが、40代後半の方々も、以前より回復に時間がかかる、少しの無理が体にこたえる、といった形で実感することが増える時期です。
こうした体力低下は、単に体が動かしにくくなるだけでなく、疲れやすさから外出を控えがちになったり、活動量が減ったりすることで、社会との繋がりが希薄になったり、気分の落ち込みにつながったりすることもあります。
体力低下が夫婦の生活に与える影響
パートナーの、あるいは自身の体力低下は、夫婦の日常生活にも影響を与えます。
- 共通の活動への影響: これまで夫婦で楽しんでいた旅行やハイキング、スポーツなどが難しくなる場合があります。「もう無理はできない」と感じることで、お互いに遠慮が生じたり、楽しみを諦めたりすることになるかもしれません。
- 家事や役割分担の変化: どちらかの体力や体調が優れない時、家事の負担バランスが変わることがあります。これにより、負担が増えた側が疲労を感じたり、不公平感を抱いたりする可能性も出てきます。
- 将来への不安: 自分たちの老後や健康に対する漠然とした不安が現実味を帯びてきます。「このまま体力が落ちたら、将来どうなるのだろうか」「どちらかが倒れたら、一人の負担が大きくなる」といった心配事を、パートナーと共有しきれずに一人で抱え込んでしまうこともあります。
- 親のサポートへの影響: 遠方の親御様のサポートが必要になった際、自分たちの体力がないと、移動や実際の介助が難しくなります。これも夫婦でどう役割分担し、お互いを支え合うかという課題につながります。
これらの変化に気づかないふりをしたり、一人で抱え込んだりするのではなく、夫婦で率直に話し合い、共に向き合うことが非常に重要です。
夫婦で始める体力維持・向上のための取り組み
体力は、適切なアプローチによって維持したり、ある程度向上させたりすることが可能です。そして、その取り組みを夫婦で一緒に行うことには、多くのメリットがあります。
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お互いの状態を共有する: まずは、夫婦でお互いの体の状態や感じている変化について率直に話し合ってみましょう。「最近疲れやすいんだ」「前に比べて歩くのが遅くなった気がする」といった、ささいな変化でも共有することが大切です。これにより、お互いの状況を理解し、無理のない範囲で支え合うことができます。定期的な健康診断の結果などを共有するのも良いきっかけとなります。
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共通の目標を設定し、一緒に取り組む: 例えば、「週に〇回、一緒にウォーキングをする」「家で簡単な体操を一緒にやってみる」など、夫婦で達成可能な共通の運動目標を設定します。一人ではついサボってしまいがちな運動も、パートナーと一緒なら継続しやすくなります。楽しみながら取り組めるウォーキングコースを探したり、新しい運動を試したりするのも良いでしょう。
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日常生活での工夫: 特別な運動時間を設けなくても、日常生活の中で活動量を増やす工夫はできます。例えば、階段を使う、一駅分歩いてみる、買い物の際に少し遠回りをするなど、できることから始めてみましょう。こうした小さな変化も、夫婦で意識し合うことで習慣になりやすくなります。
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専門家への相談を検討する: 自分たちの体力低下について具体的なアドバイスが欲しい場合や、持病がある場合は、医師や運動指導の専門家(理学療法士や健康運動指導士など)に相談することも有効です。どのような運動が適しているか、安全な取り組み方などを教えてもらうことで、より効果的に、安心して続けることができます。親御様の場合も、かかりつけ医や地域の包括支援センターなどに相談し、体力を維持・向上させるためのアドバイスや、利用できるサービス(通所リハビリテーションなど)の情報を得ることを夫婦で協力して行うと良いでしょう。
健康寿命を延ばすために夫婦でできること
体力維持は、「健康寿命」(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)を延ばすために不可欠な要素の一つです。健康寿命を延ばすためには、体力だけでなく、栄養バランスの取れた食事、十分な睡眠、社会との繋がりなども重要になります。
夫婦で健康寿命について話し合い、共に取り組むことは、単に体を鍛えるだけでなく、お互いの人生をより豊かに、長く共に過ごすための基盤を築くことにつながります。
- 食生活の見直し: 夫婦で一緒に食事の準備をしたり、健康的なレシピを試したりすることで、楽しみながら食生活を改善できます。
- 趣味や社会参加: 夫婦共通の趣味や、地域活動への参加など、心身ともに活き活きと過ごせる機会を大切にしましょう。新たな趣味に一緒に挑戦するのも良いかもしれません。
- 定期的な健康チェック: 健康診断や人間ドックを定期的に受診し、結果を夫婦で共有することで、早期に体の異変に気づき、対策を講じることができます。
体力や健康に関する話題は、時にデリケートな内容を含みます。「年を取った」「衰えた」といったネガティブな言葉を避け、お互いを尊重し、励まし合う姿勢を大切にしましょう。パートナーが体力維持や健康づくりに取り組む際、無理強いするのではなく、「一緒にやってみようか」「できることから始めてみよう」と優しく寄り添うことが、継続のためには何よりも大切です。
まとめ
40代後半からの「体がついていかない」という感覚は、自然な変化のサインです。この変化に気づき、目を背けることなく、パートナーと共に向き合うことから全ては始まります。
夫婦で体力維持や健康寿命について話し合い、小さなことからでも一緒に取り組むことは、お互いの健康を守るだけでなく、二人の絆を深め、将来への不安を乗り越える大きな力となります。親御様のサポートや自分たちの老後を考える上でも、自分たちの体力を維持することは重要な備えとなります。
焦らず、お互いを気遣いながら、夫婦二人三脚で、健やかな未来への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。