親の体の変化に気づいたら:夫婦で考える地域の見守り・サポートの探し方
親の体の変化と、離れて暮らす夫婦の不安
親御さんの体の変化に気づかれたとき、特に遠方にお住まいの場合は、様々な不安を感じられることと思います。例えば、一人でいる時の安全は確保されているのか、食事はきちんと摂れているのか、何かあったときにすぐに駆けつけられるのか、といった心配が頭をよぎるかもしれません。そして、これらの不安や、親御さんをどのように支えていくかを、パートナーとどう共有し、協力していくべきか悩むこともあるでしょう。
自分たち自身の仕事や体調もある中で、親御さんのサポートを夫婦だけで抱え込むのは容易ではありません。このような状況で有効な選択肢の一つとなるのが、「地域の見守り・サポート」の活用です。公的なサービスだけでなく、地域には様々な形での支え合いが存在します。今回は、親御さんの体の変化を機に、夫婦で協力して地域の見守りやサポートを探し、活用していくための考え方と具体的なステップについてご紹介します。
なぜ地域の見守り・サポートが必要なのか
離れて暮らす親御さんのもとへ、毎日駆けつけることは現実的に難しい場合がほとんどです。電話やオンラインでのコミュニケーションだけでは把握しきれない体の変化や生活状況もあります。特に、認知機能の低下が見られる場合や、転倒のリスクが高まるなど、不意の事故に対する備えは重要になります。
このようなとき、地域の見守りやサポートは、ご夫婦だけではカバーしきれない部分を補い、親御さんの安全と安心な暮らしを支える力となり得ます。専門的な介護サービスに至らないまでも、日常生活の中でのちょっとした声かけや異変の察知、地域との緩やかな繋がりは、親御さんにとっても、そして離れて見守るご夫婦にとっても大きな安心感に繋がります。
夫婦で始める地域のサポート情報収集と話し合い
地域の見守り・サポートには、様々な種類があります。自治体が行う高齢者見守りサービス、社会福祉協議会やNPOによる地域活動や相談窓口、民間の見守りサービス、そして何よりも重要なのが、近所の方々との繋がりや、地域のボランティア活動など、フォーマルなサービスだけではない「インフォーマルなサポート」です。
まずは、どのような地域資源があるのか、夫婦で情報収集を始めることをお勧めします。
- 情報収集の第一歩: 親御さんがお住まいの自治体のウェブサイトを確認したり、地域包括支援センターに問い合わせてみたりすることから始められます。地域包括支援センターでは、地域の高齢者福祉に関する様々な情報を提供しており、どのようなサポートが利用可能か相談できます。
- 夫婦での話し合い: 収集した情報を共有し、夫婦で話し合いましょう。話し合うべきポイントは以下のようなことです。
- 親御さんの現在の体の状況や生活での困りごとをどのように捉えているか。
- どのような見守りやサポートが必要だと考えるか。
- 親御さんの希望や、新しいサポートを受け入れることへの意向。
- 利用にかかる費用や、夫婦のどちらが主体となって情報収集や手続きを進めるか、といった役割分担。
この話し合いでは、お互いが感じている不安や懸念も率直に共有することが大切です。夫婦で同じ情報を持ち、共通認識を持つことが、今後の連携において非常に重要になります。
具体的な探し方と活かし方
具体的な地域の見守り・サポートの探し方と活かし方についても考えてみましょう。
- 地域包括支援センターの活用: 先述の通り、地域の高齢者支援の専門家がいます。ここで相談することで、公的な見守りサービスや、地域のボランティア団体、NPO法人など、様々な情報を得ることができます。
- 既存の地域活動への参加促進: 親御さん自身が地域サロンや趣味の集まりに参加している場合、その場での見守りや、参加者同士の緩やかな繋がりが生まれることがあります。可能な範囲で、そうした活動への参加を促すことも有効です。
- 民間の見守りサービス: 緊急通報サービスや、定期的な安否確認の電話・訪問、センサーを利用した見守りなど、様々なサービスがあります。費用はかかりますが、夫婦の安心に繋がる場合は検討価値があります。サービスの比較検討を夫婦で行い、親御さんに合ったものを選びましょう。
- 親御さんへの伝え方: 新しいサポートの導入を提案する際は、親御さんの気持ちに寄り添うことが大切です。「見守り」という言葉に抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。「〇〇さんが安心して暮らすために、私たちも安心したいから」といった、ご夫婦の思いを伝える形で話し合うと良いでしょう。
地域のサポート探しは、夫婦で協力して行うことで、一人当たりの負担を減らすことができます。情報収集の担当を決める、相談窓口への連絡を分担するなど、無理のない範囲で役割を決めましょう。
夫婦で支え合うことの意義
親御さんの体の変化への対応は、長期にわたる可能性があります。このプロセスにおいて、夫婦がお互いの状況や感情を理解し、支え合うことは非常に重要です。地域のサポート探しや導入の過程で意見が分かれることもあるかもしれませんが、それはお互いが真剣に親御さんのことを考えている証拠です。
話し合いが難しいと感じる場合は、一度に全てを決めようとせず、少しずつテーマを区切りながら進めることも有効です。また、夫婦それぞれの親御さんに対する思いや、きょうだいとの関係性なども影響することがあります。お互いの立場を尊重し、共通の目標(親御さんの安心な暮らし、そして自分たちの安心)に向かって協力していく姿勢が大切です。
まとめ
親御さんの体の変化に気づいたとき、離れて暮らす中で感じる不安は大きいものです。その不安を軽減し、親御さんが住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために、地域の見守りや様々なサポートを活用することは有効な選択肢の一つです。
どのようなサポートがあるか夫婦で情報収集し、親御さんの状況や希望を考慮しながら、夫婦で話し合い、協力して探していくプロセスは、親御さんへのサポートであると同時に、ご夫婦自身の安心と、将来自分たちが同じ状況になったときの備えにも繋がります。
地域のサポートは万能ではありませんが、公的なサービスやご夫婦自身のサポートと組み合わせることで、より多角的な支えとなります。夫婦で力を合わせ、親御さんと地域との緩やかな繋がりを大切に育んでいくことが、家族全体の安心に繋がる第一歩となるでしょう。