親の自宅でのリハビリ・運動:夫婦で話し合う遠距離からの支え方
離れて暮らす親御さんのリハビリ・運動を夫婦でどう支えるか
遠方に住む親御さんの体の変化は、離れて暮らす方々にとって大きな心配事の一つです。特に、病気や怪我の後、あるいは加齢に伴い、自宅でリハビリや運動に取り組む必要が出てきた場合、どのようにサポートすれば良いのか悩まれる方もいらっしゃるでしょう。共働きの夫婦であれば、自身の仕事や生活との両立に加え、遠距離からのサポートには特有の難しさがあります。
この記事では、離れて暮らす親御さんの自宅でのリハビリや運動を、夫婦で協力して支えるための考え方と具体的なステップについてご紹介します。パートナーと協力し、お互いの負担を減らしながら、親御さんの健康維持をサポートするための一助となれば幸いです。
なぜ自宅でのリハビリ・運動サポートが重要なのか
親御さんが自宅でリハビリや運動を続けることは、体力や筋力の維持・向上、日常生活動作(ADL)の改善、転倒予防、そして精神的な健康の維持にもつながります。病院や施設でのリハビリ期間が終わった後も、自主的な取り組みを継続できるかどうかで、その後の生活の質が大きく変わる可能性があります。
しかし、ご本人のモチベーション維持が難しかったり、正しい方法で行えているか不安があったり、体調の変化に気づきにくいという課題が伴います。特に離れて暮らしている場合、日々の様子を把握することが難しく、どのように声かけやサポートをすれば良いか分からないという状況になりがちです。このような状況だからこそ、夫婦で親御さんの状況を共有し、協力して支える体制を築くことが重要になります。
夫婦で話し合うべきこと
離れて暮らす親御さんの自宅でのリハビリや運動をサポートするにあたり、夫婦で事前に話し合っておくべきポイントがいくつかあります。
- 親御さんの現在の状況と目標の共有: 親御さんがどのような体の状態にあるのか、医師やリハビリ担当者からどのような指示やアドバイスを受けているのか、そしてご本人がどのような目標を持っているのかを夫婦で正確に共有します。必要であれば、親御さんとも一緒に話し合い、意向を確認することも大切です。
- サポート内容と役割分担の検討: 夫婦で協力してどのようなサポートができるかを具体的に話し合います。例えば、定期的な電話での声かけ、オンラインでの運動の見守り、帰省時のサポート、必要な器具や情報の提供、地域のサービスの情報収集などが考えられます。どちらがどのような役割を担うのか、お互いの仕事や体力も考慮して無理のない範囲で分担を検討します。
- 情報収集と専門家への相談: 親御さんが利用できる地域のサービス(訪問リハビリ、デイサービスなど)、介護保険の活用、医療機関との連携など、必要な情報収集を誰が行うかを決めます。ケアマネジャーや地域包括支援センターなど、専門家に相談することも検討し、夫婦で相談内容や結果を共有します。
- 費用に関する話し合い: リハビリや運動に関連する費用(サービス利用料、器具購入費など)についても話し合います。誰がどのように負担するのか、家計への影響はどうかなどを共有し、必要に応じて親御さんやごきょうだいとも相談します。
- 「異変に気づく」ための情報共有: 離れて暮らすからこそ、親御さんの小さな変化に気づくことが重要です。夫婦それぞれが親御さんと連絡を取る際にどのような点に注意するか、気づいたことをどのように夫婦間で共有するか(例:体調、声の調子、意欲など)をルール化しておくと良いでしょう。
具体的なサポート方法と情報共有の工夫
夫婦で話し合った内容に基づき、具体的なサポートを実行する際には、以下のような方法や工夫が考えられます。
- 定期的な連絡: 夫婦どちらかが定期的に親御さんと電話やビデオ通話で話す時間を設けます。運動やリハビリの進捗状況を聞いたり、体調を気遣ったりすることで、親御さんのモチベーション維持にもつながります。その際の様子を夫婦で共有します。
- オンラインでの見守り: スマートフォンやタブレット、パソコンなどを活用し、オンラインで親御さんの運動の様子を見守ったり、一緒に簡単な運動をしたりすることも可能です。技術的なサポートが必要な場合は、夫婦で協力して設定を支援します。
- 地域のサービス活用: 親御さんが利用できる地域の介護保険サービスやインフォーマルサービスについて夫婦で情報収集し、必要に応じて利用を検討します。訪問リハビリやデイサービスを利用することで、専門家によるサポートを受けつつ、見守りの目も増やすことができます。
- 情報共有ツールの活用: 夫婦間、あるいは親御さんやごきょうだいも含めて、情報共有のためのグループLINEや共有カレンダー、簡単なウェブサービスなどを活用することも有効です。親御さんの体調、通院予定、運動の記録などを共有することで、離れていても状況を把握しやすくなります。
- 帰省時の集中的なサポート: 帰省した際には、親御さんと一緒に運動したり、リハビリの様子を確認したりする時間を設けます。必要な場合は、自宅の環境を安全に整えるためのアドバイスや、運動を続けやすい工夫(例:運動メニューを紙に書いて渡す)なども行います。
自分たちの負担と感情面への配慮
親御さんのサポートは重要なことですが、夫婦自身の負担が増えすぎないように配慮することも非常に大切です。特に共働きの場合、時間的・精神的な余裕が限られていることもあります。
- 夫婦で互いの状況を理解する: どちらか一方に負担が偏っていないか、お互いの仕事や体調に無理がないかを常に確認し合います。疲れやストレスを感じているようであれば、労いの言葉をかけたり、サポート内容を見直したりすることも必要です。
- 完璧を目指さない: 親御さんの健康を願うあまり、「もっとこうすべき」「なぜできないのだろう」と考えてしまいがちですが、無理強いは禁物です。できる範囲でサポートするという心構えを持ち、ご本人の意思やペースを尊重することが大切です。
- 夫婦で息抜きをする: 介護や遠距離でのサポートは精神的な負担も伴います。夫婦で共通の趣味を楽しんだり、美味しいものを食べに行ったりと、二人でリフレッシュする時間を意識的に持つようにしましょう。これにより、心の健康を保ち、親御さんへのサポートを長く継続することができます。
まとめ:夫婦で支え合い、共に親御さんの健康を見守る
離れて暮らす親御さんの自宅でのリハビリや運動のサポートは、共働き夫婦にとって容易なことばかりではありません。しかし、夫婦でしっかりと話し合い、情報共有を密に行い、それぞれの役割を分担することで、無理なく継続できる方法を見つけることは可能です。
親御さんの体の変化に寄り添いながら、どのようにサポートできるかをパートナーと共に考え、実践していくプロセスは、夫婦自身の絆を深め、将来自分たちの身に起こりうる体の変化や老後についても共に考える良い機会となります。一人で抱え込まず、パートナーと支え合いながら、親御さんの健康を見守っていきましょう。