体の変化と向き合うカップル

親の転倒リスクに備える:夫婦で始める自宅の安全点検と緊急時の話し合い

Tags: 親の介護, 体の変化, 自宅の安全, 転倒予防, 夫婦の話し合い

親の転倒リスクに備える:夫婦で始める自宅の安全点検と緊急時の話し合い

親御様の体の変化を感じ始めた頃、遠方で暮らしている場合は特に、「自宅で転んでしまったらどうしよう」という不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。加齢とともに体の機能は変化し、バランス能力の低下や筋力の衰えなどから、転倒のリスクは高まると言われています。

もし親御様が転倒し、骨折などをすると、入院やリハビリが必要になることもあり、その後の生活に大きな影響を与える可能性があります。また、離れて暮らすお子さんや、近くで支える親御様のパートナーにも、精神的・物理的な負担が生じます。

こうした状況を未然に防ぐため、あるいは万が一の際に冷静に対応できるよう、ご夫婦で親御様の「転倒リスク」について話し合い、備えを進めることは非常に重要です。本記事では、親御様の転倒リスクに備えるために、ご夫婦でできること、そして具体的な話し合いのポイントをご紹介します。

なぜ高齢者は転倒しやすいのか

加齢に伴い、以下のような要因が転倒リスクを高めると考えられています。

これらの要因が複合的に重なることで、些細なきっかけでも転倒につながってしまうことがあります。

夫婦で始める親御様宅の安全点検

親御様が遠方に暮らしている場合でも、帰省時などを利用して、ご夫婦で一緒に自宅の安全点検を行ってみましょう。どのような点に注意すれば良いか、以下に具体的に挙げます。

安全点検を通じて気づいた改善点があれば、親御様やそのパートナーに、安全のため具体的な対策(手すりの設置、段差解消、滑り止めマットの使用、整理整頓など)を提案してみましょう。大きな改修が必要な場合は、住宅改修の補助金制度なども利用できることがあります。この際、ご夫婦で情報を集め、どのように親御様に伝えるか、費用はどうするかなどを事前に話し合っておくとスムーズです。

転倒リスクを減らすための具体的な備え

自宅環境の整備だけでなく、親御様ご自身の体の状態や生活習慣にも目を向け、ご夫婦で協力してリスクを減らすための支援を検討しましょう。

万が一転倒した場合の緊急時の話し合い

どんなに注意していても、転倒は起こりうるものです。万が一の際に、ご夫婦で冷静に対応できるよう、事前に緊急時の連絡体制や対応手順について話し合っておくことが不可欠です。

夫婦で話し合うことの意義

親御様の転倒リスクへの備えについて、ご夫婦で話し合うプロセスそのものが、お互いの不安を共有し、協力体制を築く上で非常に価値があります。

例えば、「私は親の家に行ける頻度が少ないから、あなたが自宅の様子を気にしてもらえると助かる」「転倒防止のためのリフォーム費用について、一緒に情報を集めよう」といった具体的な協力の形が見えてくるかもしれません。また、「親が老いていくことへの不安を、あなたも感じているんだね」と、お互いの感情に気づき、寄り添うきっかけにもなります。

親御様の体の変化やそれに伴うリスクへの備えは、お子さん世代である私たち自身の将来にもつながるテーマです。いつか私たち自身も同じような課題に直面する可能性を念頭に置き、今のうちに知識を蓄え、ご夫婦で協力して乗り越える経験を積んでおくことは、自分たちの老後に向けた大切な準備とも言えるでしょう。

転倒リスクへの備えは一度行えば終わりではありません。親御様の体の状態や生活環境は変化していきますので、定期的にご夫婦で話し合い、必要に応じて見直しを行うことが大切です。不安や課題を一人で抱え込まず、パートナーと分かち合い、共に考え、行動していくことで、親御様の安全を守り、ご夫婦自身の安心にもつながるはずです。